不動産を売却する際、複数の不動産会社に査定を依頼すると、提示される価格に大きな差が出ることがあります。中には、実際の市場相場よりも極端に高い、あるいは逆に低い査定額を出す会社も存在します。
査定額が相場より高すぎる場合、不動産会社は「うちに任せてもらいたい」という思いから、売主にとって魅力的な高値を提示することがあります。しかし、実際にその価格で買主が見つかるケースは少なく、売却活動が長期化したり、最終的に大幅な値下げを余儀なくされることも珍しくありません。こうした場合、不動産会社は「市場環境が変わった」「物件に欠点が見つかった」などの理由で価格の引き下げを提案してくることがあります。
一方で、査定額が相場よりも低すぎる場合も注意が必要です。特定の会社に売却を依頼している場合、早期に成約して手数料を得たいという意図から、あえて安い価格を提示し、すぐに買主を見つけて満額の手数料を得ようとすることがあります。このようなケースでは、売主が本来得られるはずだった利益を逃してしまう可能性があります。
こうしたリスクを避けるためには、必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、査定額の根拠や周辺の取引事例をしっかり確認することが大切です。また、査定書は書面やデータで保存し、後から内容を見返せるようにしておきましょう。過度な競争原理を働かせると、実現性の低い価格提案や、各社のモチベーション低下につながることもあるため、適度なバランスを意識することもポイントです。
適正な売却価格を見極めるためには、相場や取引事例を自分でも調べ、不動産会社からの説明が納得できるものかどうかを確認しましょう。信頼できる会社を選び、根拠ある価格で売却活動を進めることが、満足のいく取引につながります。
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