不動産取引の中には「フォワードコミットメント(フォワードコミット)」と呼ばれる手法があります。これは、建物が未完成の段階で売買契約を結び、建物が完成した後に残代金の支払いと引き渡しを行う取引形態です。新築マンションや事務所ビルの一棟取引、分譲マンションの購入などでよく見られます。
フォワードコミットメント取引のリスク
この取引では、契約時点ではまだ物件が完成していないため、完成後に建物や設備が当初の約束と異なったり、質が落ちているケースがあります。悪質な売主の場合、契約が成立した後にコスト削減のため、建材や設備のグレードを下げてしまうことがあるのです。売主側は既に売買契約が成立し、代金も決まっているため、利益を増やす目的でこうした変更を行うケースが見受けられます。
また、建築資材の価格変動や調達状況によって、当初の計画通りに全ての仕様を守ることが難しい場合もあります。しかし、買主にとってはグレードダウンは経済的な負担となり、満足のいく取引にならないリスクがあります。
契約時に確認すべきポイント
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設計仕様や使用する素材が契約時点で明確に決まっているか確認する
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途中で仕様や素材の変更がある場合には、必ず買主の承諾を得る旨を契約条件に盛り込む
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信頼できる売主でない場合は、安易にフォワードコミットメント取引に応じない
完成後、明らかな欠陥があれば法的に買主が保護される場合もありますが、グレードダウンなど微妙な変更はトラブルの原因となりやすいため、事前の確認と交渉が重要です。
まとめ
フォワードコミットメント取引は、完成前の物件を契約するため、買主側にとってはリスクが伴います。契約時には仕様や素材、変更時のルールを明確にし、信頼できる売主かどうかも慎重に見極めることが大切です。納得できる条件で契約を進めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
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