不動産投資を行う際、多くの人が金融機関からのローンを利用します。しかし近年、ローン審査を通すために不動産会社や金融機関が書類を改ざんし、不正に融資を引き出す事件が相次いでいます。こうした不正融資は、最終的に投資家自身が大きなリスクや損失を負うことになるため、十分な注意が必要です。
どのような不正が行われていたのか
代表的な不正融資事件として、「かぼちゃの馬車」やスルガ銀行の問題が挙げられます。これらの事件では、投資家の年収や預金残高などを実際より多く見せかけるために、通帳や源泉徴収票などの証明書類が改ざんされていました。不動産会社と金融機関が結託し、投資家が本来借りられないはずの高額なローンを組ませる仕組みが常態化していたのです。
また、実際の契約書とは異なる金額の「銀行提出用契約書」を用意し、物件価格や自己資金を水増しする手口も使われていました。これにより、自己資金が少ない投資家でもフルローンやオーバーローンが組めてしまい、結果として身の丈に合わない多額の借金を背負うことになったケースが多発しました。
投資家が巻き込まれるリスク
こうした不正に関与してしまうと、最悪の場合、金融機関から一括返済を求められたり、物件を売却してもローンが残るなど、深刻な経済的ダメージを受ける可能性があります。また、知らずに書類改ざんに加担していた場合でも、文書偽造の罪に問われるリスクがあるため注意が必要です。
被害を防ぐためにできること
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ローン審査や金融機関の選定を不動産会社任せにせず、自分でも複数の金融機関に相談して意見を聞く
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提出書類は必ず自分で確認し、金融機関側に提出された内容と相違がないかチェックする
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フルローンやオーバーローンを強調する業者には特に警戒する
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フラット35など本来投資用に使えない住宅ローンを勧められた場合は、断る
不動産投資は大きな資金が動くため、安易に業者の言うままに進めてしまうと、後々大きなトラブルに発展しかねません。自分自身で情報を集め、冷静に判断することが大切です。