不動産の売買において、「この物件はすべての部屋が満室で非常に人気があります」といった説明を受けることがあります。しかし、実際には空室があるにもかかわらず、売主や不動産会社が満室であるかのように装い、買主に物件の価値を高く見せようとするケースが存在します。

このような場合、空室の部屋にカーテンをかけて外から分からないようにしたり、電気メーターをわざと動かして入居者がいるように見せかけたり、レントロール(入居状況を示す資料)を改ざんするなどの手口が使われます。さらに、契約時には満室に見せかけて手付金を高額に設定し、買主が簡単に解約できない状況をつくった上で、引き渡し前に退去が続出するという悪質なパターンもあります。

こうしたリスクを避けるためには、物件購入前にできる限り多くの資料を確認することが重要です。各部屋の賃貸借契約書や入居者の本人確認書類の有無をチェックしたり、周辺住民に実際の入居状況を尋ねたり、郵便ポストの様子を確認することで空室を見抜ける場合もあります。書類が偽装されている可能性もあるため、現地に複数回足を運び、自分の目で状況を確認することも大切です。

また、契約書には、契約内容に違反があった場合に解除しやすい条項を盛り込むことや、契約から決済・引き渡しまでの間に入居者の変動があった場合には速やかに連絡し、必要に応じて解約できる旨を記載しておくと、万一の際のリスクを減らすことができます。

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